AIが仕事を奪う?教育業界におけるIT化の可能性

AIが仕事を奪う?教育業界におけるIT化の可能性

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目次
テクノロジーの進歩はあらゆる業界に革新をもたらします。「AIが仕事を奪う」といったように悲観的に捉える議論が目立ちますが、これをチャンスと捉えると無限の可能性が見えてきます。

当然教育業界においても当てはまり、本記事では「教育業界のIT化」について、今日のテクノロジーの可能性に簡単に触れた上で、何百年という長い間、大きな変化が起きてこなかった教育業界がついに変革の時を迎えている最前線について解説し、このような時代で価値を出していくコツについて書かせていただきます。

テクノロジーの可能性とは~無限大のインパクト~

まず最初に、IT化を語る上で必須となる、教育業界に活用できるテクノロジーについて簡単に触れておきます。テクノロジーの進歩は日進月歩かつ、「昨日なかった技術やサービスが今日の主流になる」ことも往往にして起こり得ます。

さらに、テクノロジーはIT業界だけでなく、非常に様々な業界を巻き込み加速度的にサービスの幅を広げていっています。

「コネクテッドカー」、「AIによる自動運転」などのフレーズは、昨今ほぼ毎日ニュースや新聞で目にしているかと思います。これは単に自動車業界でIT化が進んでいるからだけでなく、日本を代表する車産業における変革だからニュースで騒がれているのです。

一般的にITと親和性が低いと言われている業界でも、日々IT化により様々な変革が起こっています。
教育業界においても同様のことが言えます。いくつか代表的な例をみてみましょう。

  • インターネットの発展により、誰でもどこからでもどんな情報にも安価にアクセスできる。
    これにより地域的格差や所得と教育レベルの相関性低減などが起こり得ます。
  • デバイスの発展(スマホ、タブレット、IoT 等)により、より効率的な教育の提供や、個々人のレベルや進度に合わせたOne-to-One型教育が可能になります。
  • ソフトウェアやサービスの発展(AI、SNS、コミュニケーションのあり方)により、様々な教育の提供方法や教育内容の多様化が生じるようになります。

これらは教育業界に与えるインパクトのほんの一例にすぎませんが、その影響は計り知れず、テクノロジーの可能性は無限大と言えます。

edTech(エドテック)とは~何百年も変わらなかった”教育”がついに変革の時を迎える~

edTechとは、「Education」と「Technology」をかけ合わせた造語で、近年バズワード(=流行語)となっているフィンテック(FinTechでFinanceとTechnologyをかけ合わせた造語)のような●●テックシリーズの1つです。

要するに、「教育」の「IT化」を意味し、最先端の技術を活用したサービスがしのぎを削ってビジネス化に取り組んでいます。edTechの事例を読み解くことにより、教育業界全体をイノベートしている最前線を知ることができます。

edTechにおいて今最も話題となっているのは、MOOC(ムーク:Massive Online Open Courses=大規模オンライン公開講座)の台頭でしょう。MOOCとは、インターネット上の教育機関であり、MITなど世界の名だたる教育機関がコンテンツを提供しています。日本においても、NTTドコモ社などがサービス提供にコラボレーションしています。

MOOCによって何が起きるのか、代表的な変革4点について、みていきたいと思います。

1.高度な教育が世界中の人々に開かれる

MOOCには「教育格差」に対する是正という思想があります。世界的にみれば限られた一部の人しか受けられない高度な教育を、MOOCではインターネット環境さえあれば世界中の誰でも高度な教育を受けることができます。それまで受けたくても受けられなかった人々の吸収力は相当な成長を促すでしょう。非常に大きな可能性をはらんでいます。

2.インタラクティブな教育が可能

これまでの形態では特に日本の教育において、教育提供者からの一方的な講義というものが主流でした。質問する機会を与えたとしても、あまり発言しない風習が日本にはあると言われています。これが日本人の発信力を低下させるとも言われています。IT化により、誰でも講義中のいつでも、講師や同じ授業を受けている生徒同士ともインタラクティブなコミュニケーションを取ることが可能になります。これにより、より一層アクティブな授業が展開されるようになるでしょう。

3.学習状況の管理やデータ分析が容易になる

これは、IT化によりリアルタイムで個々人の成績や理解度の把握が可能になったり、学習状況の進捗管理が可能になります。さらにこれらのデータを蓄積することでビッグデータとして生徒の傾向把握や向上に向けた適切なアドバイスができるようになります。情報蓄積のスピードも1つの教室ではなく世界中で何十万人もの生徒が同時に授業を受けられるMOOCの世界では段違いになります。

4.「リクルーティング」というキーワード

MOOCは高度な教育を受けた優秀な学生達を獲得したい企業にも大きなメリットを生みます。これまでレベルの高い大学に対しアプローチすることが主流でしたが、今後はMOOCを通じて世界中の受講生から意欲が高く優秀な学生をリクルーティングする絶好の機会になります。

新科目としての「プログラミング」は日本の子供たちをIT化の波に乗せることができるのか?

ここまで、教育のIT化がもたらす様々な可能性について代表例をいくつかみてきました。
では、IT化が進む世界で日本が今後もリードしていくためには何が必要なのでしょうか。

「プログラミング」が義務教育課程において必修化になるというニュースを耳にしました。

今日、世界をリードするテクノロジー企業と、様々な業界で起きる変革(デジタルディスラプション)に対応し、国の競争力を高めることが目的かと思われます。個人的に、全ての子供に対しプログラミングに触れる機会を提供するという意味での必修化には賛成です。

しかし、プログラミングはあくまでも広義のコンピュータを構築する一手段、一言語にすぎません。
それよりもプログラミングを通して何を行いたいのか?何を実現したいのか?社会の課題はどこにあるのか?それをどう解決していくのか?といった問題解決能力を鍛えることが最重要だと思います。

アメリカでビジネスを行うために英語さえ話せればいいということはないでしょう。課題発見能力、ビジネスモデル構築力、コミュニケーション能力等々多くのスキルが必要になるはずです。それと同様に、プログラミングができるだけではITを使いこなせるとは言えないと思います。もしかしたら近い将来、実現したいことを日本語で入力するだけでAIが自動的にプログラミングしてくれる日がくるかもしれません。大切なのは、科学技術への理解と、課題解決能力だと思います。

まとめ

ここまで読んでいただけただけで、教育業界において起こっている変革の一端は理解いただけたかと思います。

テクノロジーの進歩は非常に早く、変化に適応できなければ教育機関も国も生徒も取り残されてしまいます。しかし、これは非常に大きなチャンスでもあり、ぜひ読者の方にはこの流れをうまく活用し波に乗って日本の教育産業の発展を担っていただきたいと思います。

本記事が日本の教育業界における一助になることを願って、まとめとさせていただきます。

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